「遊歴雑記」余禄:ご先祖様の「腰提」

■遊歴雑記

「遊歴雑記」中の「帖昆爐」: 平成作庭記+α (cocolog-nifty.com)

中、

 四編 巻之下 第二十七 蒲田村新古両所の梅見再遊 大田区蒲田
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1913020/199

 に、

獨行に遊歴のはじめは、茶箱又は腰提を携、先々點茶せしが

 とあって、敬順がこの遊歴を始めた当初は、煎茶を煮るのではなく、點茶つまり抹茶を点てるために、その道具を携帯していたらしい。

 となると、文中の「茶箱」というのは、昔お茶屋さんの棚に並んでいた内部がトタン張りの茶葉保存用の大きな箱を指すのではなくて、携帯用の抹茶道具を納めた木箱を指していることになるし、「腰提」というのもそれと同様の機能を持っている、茶箱はいわばハードケースなので、こちらはソフトケースだろうと考えられた。

 しかし、この「腰提」。「こしさげ」と訓むらしいことは見当がついたものの、画像がなかなか見つからなかったのだが、そのうち、我が家に、ご先祖さまから引き継いだ「携帯用抹茶道具入りのソフトケース」があったことを思い出した。

 幼いころから目にしていたものなので、さしてこれまで意識していなかった事物だし、そもそも何代前のご先祖様のものかも定かでないのだが、ここまで、ネット上に画像がないのでれば、かつて見た「帖昆爐」の画像のように、どなたかの参考にはなるかもしれないと思うので、写真を何枚か載せておくことにする。

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まず全体像。下半分が竹籠で、上部が布の巾着状になっている。

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中身を取り出した状態。紐が通っている竹の節の部分が、いわゆる根付で、
紐を帯の下に通し、帯の上に竹節を掛けて、「腰」に「提」〔さ〕げたのだろう。


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中身・その1 小ぶりの茶碗と棗。それに、茶巾と布巾。

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中身・その2 小型の茶筅と折り畳み式の茶杓。
奥は、これらを収納する竹製の容器。我が家で引き取った10年ほど前は
簡単に開いたのだが、その後の変形で蓋の部分を引き抜くのが大変だった。
すくなくとも、100年は経っているはずなのに、今更変形したのも不思議
なのだが、剥ぎ合わせ部分を少し小刀で削ってからでないと、再び蓋がで
きないだろう(無理にかぶせると多分2度と抜けなくなる)。

【追記】
いつまでも、この容器(「茶筅筒」というらしい)をバラけたまま置いておくと、元通りに仕舞うのに支障はあるし、何よりも、時代もので相当へタッている茶筅の先が更に痛む心配もあるので、筒の身と蓋の召し合わせの調整をしてみた。
よくみると、身と蓋が当たっているのが黒ずんでいる場所らしいので、そこを刃を垂直に立てた彫刻刀で、蓋との境の召し合わせの根元から先端部に向かって徐々に軽く削ってみた。
ほぼ黒い部分が無くなると、真っすぐには無理だが、回しながらだと蓋が閉まるようになってくれたし、抜き差しも特に支障なくできるようになった。
あまり削ると、この先、さらに変形して、逆に蓋がスカスカになっても困るので、この状態で茶筅と折り畳み茶杓を元のように納めて、再び仕舞い込んだ。

【追記】びっくり!

なんと、アウトドア用品メーカーの「モンベル」から「野点セット」

モンベル | オンラインショップ | 野点セット (montbell.jp)

なるものが発売されていることが判明。

YouTubeのヴィデオ

https://youtu.be/LNp6Ais8TUw

をみると、ソフト・ケースなので、明らかに「茶箱」でなくて「腰提」だった。

【追々記】

このタイプ、「野点籠」で検索すると、新物〔アラモノ〕も結構販売されているらしいことがわかった。

 

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