「遊歴雑記」中の「帖昆爐」

■心覚えのために…

これまで見つけ出した、国会図書館のデジタル・ライブラリにある、十方庵敬順の「遊歴雑記」中の「帖昆爐」〔タタミコンロ/たたみこんろ〕
 懸案解決「帖昆爐」…  ご参照
に関連する記述を、(せっかく、探し出したのだから)リストアップし、併せて敬順師が「茶を煮」ながら眺めて光景を知ることができる、当時の絵を、わかる範囲で挙げておくことにした。

これらを手掛かりに、ようやく入手できた帖昆爐を使った、敬順師スタイルになるべく忠実な煎茶の野立*(「野煎」あるいは「野煮」というべきか)に挑戦してみたいところである。

*これにアルコールランプ*を仕込んで何度も楽しい野茶事を共にしました。 」と、すでにやっていた人もいることがわかる
 https://www.facebook.com/rocaniiru/posts/1894370463924609/

 *調べてみると、この、上部が75ミリ(2寸5分)角の帖昆櫨に収まるアルコール・バーナーというのは、かなり限定されることがわかった。
   とりあえず火熾しの手法が確立できるまでは、真似したい気もするのだが、そのとおりやってみようとすると、結構大変そう。

●総目次
http://charlie-zhang.music.coocan.jp/LIB/10PO.html

●道順別索引
http://www.ne.jp/asahi/eharate/eharate/yuureki_zakki_mokuji_kakijun.htm


●初編
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/952977

 初編 巻之上 第十八 富士見茶屋珍々亭の眺望
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1912982/37

  歌川広重:富士三十六景「雑司かや不二見茶や」

武州豊島郡下高田村の山手の方
例のたゝみ昆爐を組立つゝ、用意の茶葉二品を煎じ床几にやゝ楽座してなぐさみぬ

*現在、学習院構内の目白崖線上の由
 https://chinchiko.blog.ss-blog.jp/2012-06-04

 初編 巻之上 第二十九 中目黒村別所新富士
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1912982/54

歌川広重:江戸名所百景「目黒新富士」

村尾嘉陵「江戸近郊道しるべ 26巻6丁裏・7丁表」

 

山の半腹に古松一株ありて四方へ垂茂りその形又一品あり、此処平らかにして例のたゝみ昆爐組立茶數瓶を煎じ、腰兵粮に飢渇をやしなひあくまでに景望す

 初編 巻之上 第四十八 上板橋清水村の酒泉渓 板橋区清水町
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/952977/64

https://ja.wikipedia.org/wiki/出井の泉

西の崖下に水口貳箇所ありて清泉湧出し、旱魃にも枯る事なし、此の水輕く煎茶によしと聞て、宮田市右衛門〔清風亭驟雨〕及び印東、路牛の兩士を爰に同伴し、同所西角百姓利右衛門〔新兵衛とも號〕方にて一煎し、叉土瓶に汲みて歸宅し煎茶して樂しめり、その後仁父子叉は伴右衛門作を同道し、たたみ昆爐を組たて、途中に於いて煎茶し啜しけり

 初編 巻之中 第十六 板橋裏氷川煎茶の雅宴 板橋区氷川町
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/952977/96

互ひに用意せし畳み昆爐急火焼取出し、下流を汲みて一煎し、心みるに実に清泉也頓て驟雨路牛とともに糧をひらき、己が茶は友に飲ましめ人の茶は己啜して、寂然として久しく飲宴す

 初編 巻之中 第三十八 酒々井の駅信楽の煎茶 千葉県印旛郡酒々井町【推奨】
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/952977/114

茶葉名

店主;小さき土瓶に別煎し
   池の尾初みどり
敬順;壽、花橘 を煎じ
暁雨;若みどり、高尾 を煎じて

ここ酒々井の茶店「しがらき」で使っていた「池の尾」については
京都 宇治駐車場 宇治観光開発株式会社 (uji-parking.com)

「初茶の最後の方に摘採した大きな茶葉を揉みこんだ物でやや大味で渋みの効いた商品です。急須で入れるよりヤカンで炊きだす事をお薦めします。」

とある。
敬順の時代の「煮茶」、つまり、漢方薬のように「煎じる」抽出に向く茶葉であることがわかる。
これが見つかったので、敬順師流の煎茶の再現に一歩近づいたことになる。

【参考】「成田参詣記 巻之四」より 酒々井宿

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ru04/ru04_03647/ru04_03647_0004/ru04_03647_0004_p0044.jpg

 初編 巻之下 第二十七 本所綾瀬土手の煎茶 墨田区
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/952977/185

森川和夫:廣重の風景版画の研究(1)77

頓て携えしたゝみ昆爐取出し、土瓶の手に苧縄〔テナワ〕を聢と結付つゝ綾瀬橋の眞中より指下して、静かに清流を汲來り
火の用意して昆爐に仕懸ぬ

遠足の度ごとに吸筒に代へて茶具を携ふ、これ愚老が一癖下戸のしるしといがんか、

 初編 巻之下 第四十九 豊島郡徳丸が原の煎茶 板橋区徳丸
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/952977/210

徳丸が原に逍遊しけり、されば此平原にして、西北の方を遠望すれば、はるかに芙蓉峰は雲間に獨立し、相甲の高根がに引つヾきて、秩父の武甲山をはじめ、上信兩國の山/\は波濤の如く溶りつらなり、叉東をかへり見れば、北條左京太夫氏直が住居せし城山は、志村の西の鼻に湧出するが如し 殊更前後左右はかぎりしられね廣野にて 彼古歌にむさしのを霧のはれまに見わたせは行末とをきこゝちこそすれ、とよみしも今目前にて、取分秋の野の草/”\眞盛に、桔梗、苅萱、野萩、おみなへし、水引草、野菊の類まで誰折取ものなければ、こゝろまゝに咲ひらきし風情叉あるべしとは思はれず、彼近頃道具屋の喜多平がすふり丸めて本所に寓居し百花園きくうと號し、秋の七草とてわざ/\求めて植ならべてすら優にやさしく面白きに、ましてや自然に平原に咲みだれし様は、天造の風色實に奇/\妙/\たり、頓て嚝野の中央に莞蓙打しきつゝ、元より名主を具したれば、誰察度するものなく、例のたたみ昆爐取出し、煎茶二三種幾瓶としれず別煎し、なほ三右衛門が饗應せる酒を汲、酔いに乗じて和柔は篳篥を吹、里夕は横笛を連管し、波月は扇笛を合せ、予は譜を[言風]ひて、一二曲をなぐさみ、飽までに煎茶を啜して遊びしが、日の西山に入しに驚き、宴遊更に盡ずといへども再會を約して立歸りぬ

 

例のたゝみ昆爐取出し、煎茶二三種幾瓶としれず別煎し

●第2編
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1912998/12

 二編 巻之上 第一 石神井村三宝寺の池水 練馬区石神井台
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1912998/16

江戸名所図会:三寶寺池

用意のたゝみ昆炉取出し、担側に仕懸て池水を汲取、一煎し菓子ともに菴主へすゝめ、予も又啜しこゝろみるに、清潔とはいへど水に少し匂ひあり、是全く池水爰に淀みて流れざる故ならんかし

 二編 巻之中 第二 四ッ谷桃園煎茶の佳興 中野区中央
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1912998/88

(水の調達ができない場所)

 二編 巻之中 第二十三 豊島村若宮八幡の煎茶 北区豊島
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1912998/110

江戸名所図会:若宮八幡宮

例の野蒲団を打ちひろげ、印東路牛はたゝみ昆爐の火拵えし、
予は荒川の長流をふたつの土瓶に汲とり、
こゝろまゝに一煎す

いまだ二つの土瓶に茶あり菓子あり

ここでは「荒川」本流の水で茶を「煮て」いることになる
 関東地方の水は、日本の水の中では硬度が高く、まして、荒川は石灰岩の宝庫ともいえる秩父を源流としているのでなおさらだろう。
 いずれにしても、ゆく先々の自然河川の水を使っているのだから、硬度はやや高かったと考えられる。
 さすがに、今は北区豊島の荒川の水を使うわけにもゆかないだろうから、
 
秩父源流水 | 奥秩父山系から湧き出る自然の恵みを直送でお届けします。 (genryusui.co.jp)
 (硬度99)など荒川水系を採水地とするミネラルウォータを探す。

 二編 巻之中 第四十一 赤山額西福寺山の煎茶 埼玉県川口市西立野
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1912998/125

例の野蒲団を打ちひろげ
兩人是に安座して
たたみ昆爐取出し、
土瓶仕懸て一煎し、
酒飲ぬ身は
菓子名
長崎屋の丸ぼうろ越後屋の鹽釜に、
各々二三椀づゝ啜し、

 二編 巻之下 第七十四 木下川浄光寺杜若の再遊 葛飾区東四つ木
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1912998/228

森川和夫:廣重の風景版画の研究(1)4

予は携えし茶具取出し、軒下に吹きこぼれる井のいかにも潔よければ、頓て一煎し宿の嬶にも振舞しが、店の床几に酒飲居し人、その煎じ空給われと處望し、小皿に請て醤油かけつゝ酒の口取にせしも又一興かや

●第3編
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1913009/11

 三編 巻之下 第二十二 高麗郡入間河原の煎茶風景 埼玉県川越市大字寺山
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1913009/165

骨董袋〔ズタブクロ〕より例の帖昆爐を取り出し
松兵衛*がつくねし急火焼
消炭吹き起こしつつ煎茶仕掛けて

*準原典(内閣文庫蔵 写本)
 https://www.digital.archives.go.jp/das/image/M2018041110551419477
  https://www.digital.archives.go.jp/das/image/M2018041111000119491
 では、杢兵衛 モクベエ
   あるいは 青木木米か ?

●第4編
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1913020/7

 四編 巻之下 第二 根津権現の桜御手洗のかきつばた 文京区根津
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1913020/157

腰提の茶具など用意し

 四編 巻之下 第二十七 蒲田村新古両所の梅見再遊 大田区蒲田  【推奨】
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1913020/199

森川和夫:廣重の風景版画の研究(1)84

頭陀袋より茶具取出し、帖昆爐くみたて、急火焼に水汲み來りて、仕懸つつ湧たつ間

・「遊歴」初期は腰提、茶箱といった携帯用抹茶道具を持ちはこんでいた

殊には辨當などひらく先々、澁茶の啜りがたければ、近頃は煎茶のみを用意し、從者を具せざる外は、點茶の具携ふることなし、夫れさへ去年に今年は骨董袋持ち重りすれば、土瓶も一つならでは携えず萬事少にせしが

菓子:阿餅糖〔アハヘイトウ〕

●第5編
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1913031/7

 五編 巻之下 第四 葛飾郡隅田村水神の社地煎茶 東京都墨田区堤通
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1913031/155

森川和夫:廣重の風景版画の研究(1)142

茶葉名

山本嘉兵衛が方にてひさぐ若みどり
花橘

「山本嘉兵衛が方」は、現在の山本山。
 したがって、「若みどり」は当時の永谷園のブランド名と思われる
 【参照】日本煎茶の祖 永谷宗円 新製煎茶江戸へ|永谷宗園茶店 (nagatanisouen.com)

【参考】野蒲団

 初編 巻之中 第七十八 久良岐郡杉田村梅見の急雨
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/952977/158

 国立公文書館・蔵 内閣文庫中の写本から

78_163s

 https://www.digital.archives.go.jp/DAS/meta/listPhoto?BID=F1000000000000003195&ID=&LANG=default&GID=&NO=3&TYPE=PDF&DL_TYPE=pdf&CN=1

【余計なお世話】

ググれば、簡単にでてくるようなリンク先ですが、念のため

十方庵遊歴雑記 - 下北沢百科 (shimokitazawa.tokyo)

酒々井町の街道と道しるべ:宿場 (town.shisui.chiba.jp)

週刊東洋文庫1000:『遊歴雑記初編 1、2』(十方庵敬順著、朝倉治彦校訂) (japanknowledge.com)

 

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