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2017/06/05

食べ物随筆名作2篇

■新聞で…

暮しの手帖社が、1968年1月にその第96号として発行した「戦争中の暮しの記録」の続編の原稿を募集していることを知った。

https://www.kurashi-no-techo.co.jp/70th

この雑誌(というよりコンセプトはMookに近いか)、祖母が本屋さんにたのんで定期購読していたので(他は、ミセス、家庭画報、そして女性自身)、自然にこちらも定期購読していたのだが…

■これだけは…

と思ってもらい受けて保存していた2冊のうち1冊が、この96号だった。

で、もう1冊は、どれかというと

この号で

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なぜかというと、この

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洋画家の中村研一画伯のエッセイがあったためである。

 なにが嬉しいかというと、ジャガイモとかサバとかいった、ごくごくありふれた食材を、いかに美味く食うかの話に終始していて、著作権の制約がなければ全文転載したいくらい。

 で、一番印象に残っていて、今でもいわば座右の銘にしているのは、中村画伯が京都の下宿で同宿だった、元破戒坊主さんの以下の教訓。

「人間はねえ、衣食住というものが大事ですよ」
「食いものはね、とくべつ高いものを食やあ、別だけど、当り前のものを食っとれば、天子さまが食わはったかて、あんたが食うたかて、ようするに、腹一杯になるのは、おんなじこっちゃ。欲ばっても食いためもできません。大金持の大倉喜八郎が食うたかて、おんなじこっちゃから、食いもの、これにはぜいたくしなはれよ」
食べものは、なんぼぜいたくしたかて、たかがしれとる。腹が一杯になったら、それで終いや

画伯は、この話に続けて、徒然草の以下の件を引いています。

(生きてゆくために止むを得ない四つのものは、衣食住と、そして薬で、)『この四つ欠けざるを富めりとなす、この四つの外を求め営むをおごりとす』」

もっともです。

■実は…

私の「食い物感」を決定した本がもう一冊あって、それが、

隣家に住んでいた、今は亡き9歳年上の叔父の、おそらくは、やはり今は亡きその連れ合いの蔵書だったと思われるものを、借りてむさぼり読んだ

伊丹十三「ヨーロッパ退屈日記」

(いわば、そのサワリの部分についての的確な評論は ここ

だったのですが、この本について書き出すとキリがないし、この本、伊丹がアメリカ映画で清朝末期の義和団の乱をテーマにした「北京の55日」に出演のため、ヨーロッパ滞在中の経験を綴ったもので、最後は義和団の乱の折の、伊丹が演じた各国外交団が北京に籠城しっていた時の多国籍軍の実質的な司令官、帝国陸軍の柴五郎中佐の話にまで脱線しそうなので、また別に機会に。

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2017/06/04

レナウン・ミラノの「スパゲティ カルニ」…もどき

■突然…

今は亡きイタリアンレストラン「レナウン・ミラノ」の「スパゲティ カルニ」を思い出した。

 このレナウン・ミラノ。小田急線新宿駅の地下ホームへの入口のところにあったお店に、独身時代、出張帰りの、家に帰って夕食を作るのが億劫なときによく立ち寄って、大抵の場合は「スパゲティ トレンチノ」という、私の記憶が確かならば(理由は後述)、小型の洗面器ほどの大きさの器に入ったスパゲティの上に、スパニッシュ・オムレツを載せ、トマト・ソースをかけたもの(当然、+ビール)をオーダーしていたのだが…

■ヘロヘロに…

くたびれているときには、もう少しヴォリュームのあるものを、というわけで、頼んだのが、先の「小洗面器入りパスタ」に、仔牛のコルドンブルーを載せ、ミートソース(これについては後述)をかけたものだった。

 と、いうのも、トレンチノは確か1150円くらいだったので、+ビールでも1000円台半ばで納まるのだが、カルニの方は確か1450円くらいだったうえ、トッピングとはいえ「コルドンブルーなのだから、やはり赤ワインも」となって、コストが2000円台なかばに跳ね上がってしまうので、そういった「自分にご褒美」というときでもないと(出張手当を勘案しても)ちょっと大変、というお財布の都合もあったのである。

■とはいえ…

少なくとも当時「仔牛のコルドン・ブルー」(今になって冷静に考えると、これってフレンチのレシピではなかろうか)をメニューに入れているお店は多くはなかったし、あったとしても、単品の価格が「ミラノのカルニ」の価格を上回る1600円とか1800円だったのだから(いうまでもなく、トータルの勘定書きは、それだけでは済まない)、言ってみれば「レア感」+「食べ得」という点でコストパフォーマンスが高かったのである。

■レナウン・ミラノはもうないので…

あの名残のレシピをどこかにとどめてくれているお店はないかと「ぐぐっ」た結果、ようやく見つけたのが

「青空の下で喜怒哀楽」なるブログの、ここ

http://yaplog.jp/masa238/archive/501

に紹介されている『イタリー亭本店』のカルニだが、さすがに熊本となると遠すぎてゆけない。

■と、いうわけで…

擬き〔もどき〕を自分で作ってみることにした。

 ところで、『イタリー亭本店』のトッピングは、何かのカツレツにチーズを載っけたもののようだが、オリジナルはコルドンブルー、つまり「チーズはさみの仔牛のシュニッツェル」だったと記憶している。

 しかし、そうなると、

・どこかで、仔牛肉を調達し……………これ自体が第一関門
・それを薄くたたき延ばして……………これも手間
・塩コショウなどで下味をつけ
・チーズと重ね合わせたうえ
・小麦粉・卵・パン粉の衣をつけ………肉だけならともかく、素人には難しい
・ヒタヒタの油で満たしたフライパンで
・揚げ焼きする

必要があるわけで、自作となると難しいし、完成品をデパートなどのデリカテッセンで調達できるとしても結構なコストになってしまう。

■そこで思い至ったのが…

数か月に一度くらい行く東急大井町線の等々力の、駅前商店街にある、お肉屋さん「吉野家」さんの、チキンのチーズ巻カツ。

 このお店の、(普通の)チキンカツは安くて非常にといってよい位おいしいので、チーズ巻きカツも多分間違いなくおいしかろうし、何よりの魅力は1個100数10円という、いわゆるバジェット・プライス、というわけで先日行ったときに、2つ調達してきて、冷凍しておいた。

■そこで…

去る6月2日の金曜日。「かぁちゃん達者で留守がいい」、つまりは自前で夕食を調達することになったときに、その吉野家チキン巻カツで「擬き〔もどき〕」を作ってみることにした。

●パスタをゆでる

  オリジナルはちょっと細めのスパゲティだったと思うのだが、今回は、ソースをたっぷりとからめたいので、リングィーネ(12分茹で)。Dsc06050s

●ソース

 記憶では、トマトソースだと信じて疑っていなかったのだが、Web上でみる皆さんの記憶ではミートソース。

 こうなると、当方の記憶違いだったようなのだが、あまり肉の味が強いソースでは、肝心の仔牛肉のやさしい味の方が負けてしまって本末転倒になってしまうこと必定。やはりトマトの味が勝っているソースだったことは確実だろう、ということで見つけた、限りなくトマトソースに近いタイプの、イオンのレトルトのミートソース。

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●トッピング

 半解凍した、チーズ巻チキンカツをカットして

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 フライパンで暖めておいたソースに投入

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●パスタが茹でがったところで

ザル

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で、湯を切って

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から、ボウル(もうトシで、それほどの量は食えないので、洗面器ほどは大きくない)に入れて、ソースとトッピングを載せ…

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 さらに、フライパンに残ったソースをパスタをからめてからボウルに入れ

たっぷりとパルミジャーノをかけて、出来上がり。

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●サイドヂッシュは…

 太いキュウリがないので、普通のキュウリを皮付きのままで作った

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「ドイツ風キュウリのサラダ」

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●で…

「よっしゃぁ、持ってけい」で食卓に。

自分で自分に「け」(津軽弁)

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●そして…

「く」(津軽弁)

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 結末は「大変おいしゅうございました」

■実をいうと…

この「カルニ擬き」、10日ほど前にも、某コンビニで買ったチキンのナゲットにチーズを載せてオーブントースターで焼いたものをトッピングにして作ってみたものの、ナゲットのスパイスが「から揚げ」風で強すぎるうえ、「単なるチーズ載っけ」と「チーズ入り」のチキンの味の差には歴然としたものがあって、かのカルニとは似ても似つかぬ味になってしまって大失敗だったので、今回のは第2作目。

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