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2015/08/16

たかがカメラバッグ、されどカメラバッグ

Web上でも…

 

やはり同じ悩みを抱えている方が多いようなのですが「これは。」というカメラバッグを見つけるのは、とても難しい。

 

 まぁ、ズームレンズ付きのを1台だけ持ち歩くのなら、そんなものは全くの無駄、ならまだいい方で、むしろ「足手まとい」でしかなく、首からぶら下げて持ち歩くのがベストであることは、過去60年(大げさな話ではなくて、当時、というより戦前から父が写真に凝っていたので、「物心つく前」とまではゆかないまでも、小学校に入る前から、マミヤの「マミー」というカメラを自分専用に使っていたので)の経験から断言できます。

 

しかし…

 

単焦点のレンズを何本か持ち歩くとなると、ともかくも「どこに、どう入れて、持って歩くか」が問題になります(それでも、昔と違ってスペアフィルムの納め場所が不要になっただけマシですが)

 

 実は、何かにつけて、1眼レフ2台(キヤノン F-1 + FTb)とレンズ5本(FD24/2.8+35/2.0+50/1.4+100/2.8+FL200/4.5)を、自加工で略2階建てにしたハードケースに納めて持ち出していた学生時代はともかく、以後、かなり長い間、カメラバッグというものを持ったことがなく、海外旅行でも、標準ズーム(FD35-70)付きの1眼レフ1台(原則、軽い方のFTb)とせいぜい24ミリ1本を、それぞれ、銀座のカメラ屋さんのバーゲンで買ったコニカの布製の保護袋にくるんで、ハーディーの釣り用ショルダ「近似解」はここ。ビリンガムのような =というより、釣り用の game bag の方がオリジナルで、カメラ用の方がマネ= ゴム芯入りの帆布製なので頑丈)に放りこんで持ち歩いていたのですが、今、たとえば出張時にカメラを持ってゆくときも、このパターンとほとんど変わりありません(仕事の資料の隙間に、ポーチにレンズを入れ、カメラは資料の上に置く。M6時代はHAMAの4本入りプラケースにフィルムを入れてカバンのポケットに)

 今から10数年前にライカM6TTLを入手した後も、昔サライのおまけについていた散歩用バッグ(数年前にもバッグがオマケに付いたので-12年11月号の由-手に入れはしたものの、このVer.2は大きすぎる)なるものに、カメラ1台、レンズ2本をカプラで背中合わせにつないで

Dsc04885s
グレーの「輪っか」がライツ純正のカプラ
手前の黒いのは、それを入手できるまで使っていた、ミノルタCL用のリアキャップ
(ライカブームの最中でも、「機能には何の違いもない」のに投売り状態だった)
の裏表を接着剤と2ミリのビスナットでつないだもの。
(このミノルタのキャップは、薄いので単体で使っても便利)

ポーチ(Fuji Filmのオマケ)に入れたものとスペアフィルム2本が入ったので、半日くらいなら何の不足もなく、最大でも、パソコンを同時に持ち歩くための Fogg のやや小ぶりのバッグ(これも、game bag 系)があれば充分だったのです。

ただし、ライカを手に入れてしまったので…

どうしても、欲しくなってしまったバッグがありました。

 それが、

 中川一夫「ライカの歴史」写真工業出版社/昭和54年8月・刊

のpp.116~119に載っている、M3時代のコンビネーションケース。

 

Dsc04888s
いずれも、ネット・オークションで入手
奥が、最初に入手した「民生品」、手前が後に入手した「軍用品」

「物の値段」というのは不思議なもので…

こんな「今、改めて作ったら、いくらの値付けになるかわからない」やたらに凝りまくった物が、2つとも、初期のライカM3単体用のケースよりも、はるかに安く手に入ってしまったのですから、もう、あきれてしまいます。

 で、なんで2つもあるのかというと、これをコレクションではなく「実用」したかったので、交換可能な内部のパーティション(前掲書にいう「中枠」)がもう一つ必要になったからです。

 このバッグ、外側のケース部分から、

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内部の、多分アルミ板ベースのパーティション部分が取り外せるようになっていて

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右奥がフィルターケース。
フィルタ3枚分の半円形の切り欠きのある木枠に皮貼り


このM3用(これも何ヴァージョンかあるようで、おそらく手許のは最終版。初期版と思われるのが こちら

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左端から、エルマー135/4、M6TTL+ズミクロン35、その下にcanon28/2.8、
右端がズミクロン50+テレエルマリート2nd.。
加えて、手前左のゴム入りベルトが、レンズ無しの(もう1台の)M3の固定用、
その右奥が近接ズミクロンの「メガネ」用

のほか、ヴィゾフレックス用、スクリューマウントのいわゆるバルナックライカ用に交換できる仕組みになっています(前掲書p.119)

このように…

凝った造りなので、実際に使ってみたいものの、問題が2つありました。

ひとつは、
・グリップを付けるとカメラが納まらない

カメラの「高さ」方向については、M3用といっても、ライカメーター付きを前提にしているので、従来より2ミリ高いM6TTLでも問題なく納まったのですが、問題は幅方向。
グリップを付けてしまうと、それがパーティションと干渉してしまいます。
さりとて、これを使うときだけ、グリップを外すのでは、「実用」という点では本末転倒。
というわけで、パーティションを少し切り欠く必要が生じました。

今ひとつは
・カメラ下のレンズスペースに、標準のリアキャップが入らない

これが作られた当時のライツの公式写真
   Tcaseses
   前掲書p.117第338図

をみると、
左端が、エルマー/ヘクトール135
中央が、ライカメーター付きM3+ズミクロン50
右端が、メガネ付ズミクロン35、その下にカプラ経由でエルマー90
となっていると思われるので、
カメラの先のズミクロン50の下のスペースには、当時発売済みのMレンズの中からの消去法でゆくと、
後玉が飛び出していたスーパーアンギュロンとかエルマリート28(1st.)
あたりを納めるのを前提としていたと思われます。
つまり、このスペースには、それらのレンズ用の「先すぼまり」のリアキャップがきっちり嵌るように作られたため、逆に標準のリアキャップが入らないようなのです
(「ようなのです」というのは、「先すぼまり」キャップ‐実験用となると純正品じゃないと意味がないので‐はバカ高かったので、持っていない)
そんなレンズ、高くてとても買えませんが、せっかくスペースがあるので、手持ちのキヤノン28/2.8用に使いたい、ということから、ここも周囲の「土手」を少し切り欠いて、ミノルタのリアキャップに合うようにスペースを広げたかったのです。

しかし…

この最初に入手した、普通の茶色の「民生用」のバッグ。外側こそやや痛みがあるものの、中枠のコンディションは非常によく、これを切り欠くというのは、いかにも勿体無い。

 そこで、少し待って、「コンディションの悪い」同型のバッグを「安く」入手しようと考えました。

 その結果、ネット・オークションに出てきたのが、この、やや緑色がかった茶色の軍用色と思われるもので、蓋の上に

 「U.S. NAVAL AIR STATION ATLANTA
  PHOTOGRAPHIC DIV.
  MARIETTA GA.」

と刻印されたダイモテープの跡と、ペン書きした「P/A 700298」という管理番号が残る、まず間違いのない合衆国海軍御用達のバッグ(そもそも、アメリカ大陸のまん真ん中の、ジョージア州に‐陸軍・空軍ならともかく‐海軍の部隊があるということ自体がマイナー情報。また、「偽造」する気なら、もっともらしく「Bundes eigentum」と、(西)ドイツ軍用を真似た表記をする方が「格が上がり」ます。「本物」と思われる表記例は こちら

 

Dsc04880s
色を「見た目」に近づけるための修正で、かなり画面が荒れてしまったが、
軍用といっても「オリーブドラブ」ではなくて、緑がかったカカオブラウンというのが一番近いと思う


 コンディションが良いものなら、とても手が出る値段ではなかったのでしょうが、難あり品とのことから、大変リーズナブルな価格で落札できました(何しろ、こちらは「中枠」目当てのうえ、写真と手元の現物を比較する限り「直して直せないわけではなさそう」でしたし、最悪カメラ用品の保管箱にはなる、との判断でした)

 入手してみると、確かにかなりヤレが目立つものの、民生用とちがって軍用品としては、いかにも「使い込んだ」ことがありありとわかるこの位の方がかえって好ましい。

 幸い「中枠」の色が、外装部とちがって先の民生品と全く同じ色でしたし、カメラ用のパーティションの周りも痛んでいることから躊躇なく加工できたのですが、一方で、落札前の判断どおり「直して直せないわけではない」ことも判明。

 と、なると「どうせ持ち出すならこっちの方が面白そう」。というわけで、中枠の加工が一段落したところで、このバッグの修理にとりかかりました。

一番の問題は…

蓋のロックの部分です。

 このバッグ、蓋のロックの部分も凝っていて、当時のレンズケースと同じように、バネの入ったベルトを使って

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バネもまったくヘタっていない

ベルトの先の突起を、上蓋に開けられたスリット状の穴

Dsc04861s
民生品

に引っ掛けて止める

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仕組みになっているのですが、軍用品の方は、酷使がたたったのか、2枚上の写真にあるような、穴の周囲を保護していたクローム色の金具が左右とも無くなってしまっていました。

 このまま使えば、そのうちに、周囲の革が引きちぎれてしまうのが必定ですので、直さなければ、とても使い物になりません。

 というわけで、以前東急ハンズのハンズメッセで入手した、10円玉大の銅の円盤を使って、同等の金物を作り(民生品というお手本が手元にあるので、寸法を取るのも簡単)、すでに痛んでいる革の補強を兼ね、接着剤を併用して、穴の裏表から当てた銅板を2ミリのビスナットで締め付けて

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補修完了。

 残る問題は、各部の糸のほつれからくる接合部の剥がれだったのですが、ヘタに縫い直そうとすれば、当方の腕では、かえってみっともなくなるのが必定なので、各部の部材が分厚くて充分に接着面積がとれそうなことから、無色透明タイプの皮革用接着剤で補修するだけにしておきました。

そうこうしているうち…

肝心のメインカメラの方が、M6TTL からα7R+Rayqual アダプタに代替わりしてしまっていました。

 といっても、レンズの方は、M6時代と変わりませんので(同時にCanon FDレンズも復活)、今度は、このバッグに7Rが納まらないかが、次の課題になったのですが、何分、幅・高さはともかく、厚み、とくに7Rのファインダ後部の出っ張りがネックになります。

 さりとて、パーティションの大改造というのも大ごとになってしまいますし(重要ポイントはハトメ止め)、第一、万が一、将来Mデジタルを入手できたときに元に戻せなくのも困る(といっても、そのときはそのときで、ライブビューファインダ -ヴィゾフレックスとはよく名付けたものだとい思います- をどうするか悩みそうですが)

 などと、いろいろ試行錯誤のうち、思いついたのが「カメラ逆挿し」。つまり、既存のパーティションを無視してカメラを表裏逆に入れ、ガタツキの防止と、液晶パネル(といっても、保護用シートは貼ってある)とフードの保護のために薄いウレタンフォームを、(後で剥がせるように)要所に両面テープでスポット止めする、という算段だったのです。

 で、結果はこれ

Dsc04878s
下の写真の3箇所のウレタンパッド/シート(と、上蓋)でカメラは安定する
「コロンブスの卵」だった

 オリジナルの中枠との違いはこう

Dsc04870s
左が「加工前」、右が「加工後」
加工といっても、最小限に止めている

しかし…

このバッグ、高さ方向と奥行き方向の寸法がほぼ同じなので、肩に懸けていても安定が悪く、使い勝手は決してよいとはいえません。そのために、中枠に金属を使ってわざと重くしているのかも知れませんし、袈裟懸けにすれば多少は安定するものの、それでも「身に付いている」感じにはなりません。

 いまだかつて、これを使っている人を見たことがない

【追記】
と、言って(書いて)はみたものの、どうも「どこかで一度だけ見た」気もしたので
書庫を探したら…ありました。

Iheibags
秋田県立千秋美術館「」木村伊兵衛と秋田展 図録」同館/平成6年2月・刊
口絵写真中の、同地のアマチュア写真家と一緒に撮影行する木村伊兵衛を抜粋
(撮影者などの出典不詳。判明次第追記します)

のも、数が少ないためというより、そういった使い勝手の問題が大きいように思いますし、「実用品」としては、とてもお勧めできるものとはいえません(要するに、これは、いろいろやってはみても、「これは。」ではなかったのです)。

 

 と、言う以上は、普段一体何を使っているのかご披露する必要があるのですが、それは…

 

Dsc04887s

近所のフリマで、300円で買った、オリンパスペンのオマケのバッグ。

 軽いうえ、これでも、7Rとレンズ5本、充電器、スペアのバッテリーとSDカードが納まるので、あらかた90パーセントは、これで必要にして充分なのですよね、実は。

・それでも、持ってゆく機材が増えて、スペースが足りなくなったときに、
 Woods のウエストバッグの、底にウレタンシートを敷いてインナーバッグを入れたもの
これ の旧タイプも収まる)

・さらにそれでも、スペースが足りない場合などに、ようやく、
 Foggの「カメラバッグ」(「近似解」は ここ。最近の製品は「凝り過ぎ」で、かつての「伝統的な素材+高品質な加工」による「さりげなさ」が失われ、魅力が無くなってしまいました。「今持ってる物」を修理しながら使い続けたいと思います。)

が出動することになるわけです(詳細は後日)

 

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